「またか」。思わずそんな言葉が出てしまう中国製品の不良が明らかになった。米アップルが4月に発売し、世界中を熱狂させている腕時計型端末「アップルウオッチ」
について主要部品に欠陥が見つかり、生産に影響を及ぼしているという。
4月29日に配信された米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、関係者の話として「タプティックエンジン」と呼ばれる手首を軽くたたくような感
覚でメール着信などを知らせる機能の関連部品に欠陥が見つかったという。アップルが設計し、中国メーカーの瑞声科技控股(AACテクノロジー・ホールディングス)
と日本電産の2社が生産していたが、瑞声科技側が製造した部品に欠陥があった、と報じている。
欠陥部品の影響で生産能力がダウン
時間が経過すると故障するものがあるというもので、アップルは一部の完成品を廃棄。この欠陥部品を搭載したアップルウオッチは出荷しておらず、ほぼすべての生産を
日本電産に移したものの、部品増産には時間がかかるため、アップルは生産ペースを落とすように一部のサプライヤーに伝えたという。瑞声科技は今回の件について肯定も
否定もしておらず、ウォールストリート・ジャーナルの記事では「瑞声科技の広報担当者は顧客企業に関するコメントを控えた」としている。
中国製品の欠陥については枚挙にいとまがなく、この一件についても日本の電機メーカーの関係者は「別に驚くことでもない」と冷静だ。ただ、アップルが中国生産で問題が
生じたのはこれが初めてではない。約3年前には部品生産を委託する台湾の鴻海精密工業の中国工場で、あまりにも劣悪な環境のため、社員約2000人が暴動を起こし、自殺
者まで出るなどの問題が発生したのは記憶に新しい。
脚光を浴びる日本製の電子部品
アップルの場合、部品納入時に万全を求めてテストを繰り返し、生産段階で予期せぬ欠陥が出たのか、それともコスト重視で最初から歩留まり率を重視していなかったのかは
不明である。ただ、中国製はリスクが高いということは承知しながらも今回のタプティックエンジンに中国メーカー製を採用したのは経営陣の甘さと言わざるを得ない。
一方、この騒動で改めて脚光を浴びているのは、日本製部品の完成度の高さだ。アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」でも日本の電子部品メーカーが
製造する部品が数多く採用されているのは有名で、こうした最先端部品の技術力は世界が認め始めている。デジタル家電分野では韓国、中国勢の低価格攻勢で「完敗」したニッポ
ン家電だけに、利益率が高く、技術力が求められる部品ビジネスは今後も有望な市場だろう。
http://www.sankei.com/economy/news/150507/ecn1505070...
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