■グーグルが完全子会社の一つになった
8月10日に、グーグルが大幅な機構改革を発表した。
持ち株会社「アルファベット」を創設して、同社は傘下の完全子会社の一つになる、という内容だ。
コア事業の検索や広告は新グーグルが継承し、自動運転車やロボットなど、これまで「グーグルX」と呼ばれてきた次世代技術の開発、
「キャリコ」といった医療関連の取り組み、スマートホームの「ネスト」などは、複数のベンチャープロジェクトとしてアルファベット傘下にスピンオフする。
創業者の一人、現グーグルCEOのラリー・ペイジが新会社アルファベットのCEOとなり
共同創業者のセルゲイ・ブリンが社長、現グーグル会長のエリック・シュミットは会長となる。
グループ内で最大の事業会社かつ当面の稼ぎ頭であり続ける新グーグルのCEOには、上級副社長のサンダー・ピチャイが就任する。
サンダーは1972年インド生まれの43歳。筆者がグーグルに「プロダクト・マネジャー(PM)」という職種で入社した時には、本社で検索等を担当するPMの一人だった。
親切で頭が良く、現場の話を丁寧に聞いてくれるグッド・コミュニケーターだ。
マイクロソフトがスティーブ・バルマーの後継者を探していた時には、彼の名前も取り沙汰された。
また、ツイッターから熱烈なラブコールを受けたこともある。
クロームブラウザや、クロームOSの開発をリードした後、アンドロイドの開発なども任され、その頃から、ラリーの後継者本命と目されてきた人物だ。
■従来の大企業に近づいていくのか?
新会社アルファベットのドメインabc.xyzを叩くと、ラリーが8月10日にグーグルのオフィシャルブログに掲載したメッセージがそのまま転載されている。
「G」is for Google(「G」はグーグルのG)と題されたそのメッセージは、2004年のナスダック上場時にしたためた手紙の冒頭、
「グーグルは従来の会社ではない。そうなろうとも思わない」の引用から始まっている。
ラリーは続ける。「アルファベットとは何か? それは会社の集合体だ」
「アルファベットのモデルは、強いCEOがそれぞれの事業を独立運営し、セルゲイと私が、必要に応じて彼らをサポートするというものだ」
ちなみに、ラリーのこのメッセージの中には隠しリンクが仕組まれていて(グーグルのポリシー違反なのであるが)、
それは、米国HBOの人気テレビコメディー「シリコンバレー」に登場する、
グーグルやフェイスブックのパロディーとおぼしき架空のIT企業「フーリー」の公式サイトに繋がっている
(皆さんも見つけてみて下さい。この原稿を書いている時点ではまだ繋がっています)。
このコメディは、IT業界などの実際の有名人が多く実名で登場していることでも知られ、第一話にはエリック・シュミットも本人役で登場している。
二人の創業者もこのコメディのファンということなので、ちょっとしたジョークといったところだろう。
ところで、グーグルXやキャリコなどについては、グーグル社員でもその詳細については謎なところが多かったものの、
基本的に、これまでのグーグルの特徴は、内部に余計な壁を作らないことにあった。
「従来の会社」との大きな違いは、縦割りや階層のないフラットな生態系を確立し、活発な社内異業種交流を日常化したことにあったのだ。
しかし、古き良き時代は必ず終わる。今回のコングロマリット的な再編は、従来の大企業に一歩近付いてしまうようにも見えるが、
巨大化した同社にとって、組織運営上、および新規領域開拓に向けたエネルギーや集中力を維持し続けるために、避けては通れないステップでもあるだろう。
※続きは以下リンク先で!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/4513...
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