再生可能エネルギーの先頭を切って導入が進む太陽光発電。ソーラーフロンティア(東京都港区)の太陽電池は、発電効率や品質の高さで多くの顧客を獲得し、その普及に貢献している。
40年近く前から地道に研究開発を続け、壁にぶつかってもあきらめなかった結果が今、大輪の花を咲かせている。
「常識を覆した研究成果だ」
昨年6月に米コロラド州デンバーで行われた太陽電池の国際会議「IEEE太陽光発電専門家会議」。太陽電池の最小単位である素子で、変換効率20.9%を達成したとするソーラー
フロンティアの報告に、参加したメーカー関係者や学者は驚きを隠さなかった。
太陽電池は、パネルで受けた光エネルギーを半導体で吸収し、電気に変える。光をどれだけ電気に変えられるかを示す数値が変換効率だ。市場に出回る太陽電池のほとんどは、パソコン
などに搭載する半導体と同じシリコンを使っている。研究レベルの変換効率は、主流の単結晶シリコンで25%台、単結晶よりコストが低い多結晶シリコンで20%程度だ。国際会議で発表
した数字は、多結晶を超えるものだったが、突出していたわけではない。
それなのに参加者が驚いたのはシリコンではなく「CIS系化合物」を使い、低コストの製造方法を採用していたからだ。しかも主流ではない製法だった。
CISは、銅(Cu)とインジウム(In)、セレン(Se)の3元素の頭文字を並べたものだ。CIS電池は、その薄い膜をガラス基板上に形成することで光を吸収している。
シリコン系の変換効率は限界値に近づいており、今後も伸びる余地が小さい。これに対し、CIS系は発展途上の存在だ。20年前は16%にすぎなかったのが、20%を超え、その後も
21.7%まで上昇しているという。厚木リサーチセンター(神奈川県厚木市)で開発の指揮を執る白間英樹技術開発部長は「3年後には単結晶シリコンを超えたい。そうなれば世界が一変する」
と意欲を示す。
一方で、同社はコスト削減も追求。膜の厚さを1マイクロメートル程度と薄くし、材料費を抑えている。量産化技術を担当する杉本広紀課長は「製造工程もシンプル。中国メーカーのシリコン系
と互角以上に戦える」と強調する。経済性に優れ、実発電量が多い上に変換効率でも負けないとなれば、かなり優位性は増す。
「純国産」へのこだわりもある。厚木での研究に加えて、製造は宮崎県国富町にある世界最大級の工場で行う。今年5月には、宮城県大衡村に東北工場を立ち上げたばかり。海外勢に押され、市場
から撤退したり、自社生産をあきらめたりする日本メーカーが相次いでいるのとは対照的だ。
http://www.sankei.com/premium/news/151107/prm1511070...
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