毎年、全世界で9万4000人もの人々が毒ヘビに咬まれて命を落としている。死者数が特に多い地域は、南アジ
アとサハラ以南のアフリカだ。
彼らの命を救えないのは、抗ヘビ毒の血清が手に入りにくいからだ。ヘビ毒は複数の種類のタンパク質からな
り、ヘビの種類によって成分や構成が異なる。そのためかなり最近まで、毒ヘビに咬まれたら、その種類のヘ
ビの毒にだけ効く専用の抗毒血清で治療するのが最善とされてきた。
だが、それには約600種の毒ヘビのうち、どれに咬まれたのか正確に分かる必要があるうえ、各種のヘビ毒に
効く血清を備蓄しておくコストもかかる。
また、アフリカには複数種のクサリヘビやコブラの毒に効く抗毒血清があり、現在はそれを使った治療が最も
有効だ。しかし、報道によると、この血清の備蓄は2016年6月にも枯渇するという。血清の大半を製造してい
たフランスの製薬会社が、利益の出ない血清の生産をやめてしまったからである。
このたび、タイの科学者たちが、アジアとアフリカの18種のヘビの毒に効く抗毒血清を作る方法を発見した
と、いわゆる「顧みられない熱帯病」の研究を扱う科学誌『PLOS Neglected Tropical Diseases』に研究成
果を発表した。研究チームは、自分たちの血清は従来のものより安く、より広い範囲のヘビ毒に効果があるの
で、血清を最も必要とする貧しい地域にも供給できると主張している。
《ヘビ毒のろ過して濃度を高める》
タイ、バンコクのチュラポーン研究所のカヴィ・ラタナバナンクーン氏は、ヘビ毒の恐ろしさを何度もじかに経
験している。
「私はこれまでに15匹の犬を飼いましたが、そのうちの5匹がコブラに咬まれて死んでいます」と彼は言う。
「自宅の庭に体長1.5mのコブラが現れることもあります。私たちにとって、毒ヘビは身近な問題なのです」
より多くの種類のヘビ毒に効く血清を開発するため、ラタナバナンクーン氏の研究チームは、アジアの主要な毒
ヘビである4種のコブラと2種のアマガサヘビから12種類のヘビ毒のサンプルを採取した。 (以下ソース)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/050900160...
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