世界各地でサンゴの白化が深刻化している一方で、予想よりはるかに良い状態のサンゴが残る
「ブライトスポット」があることが、最新の研究で明らかになった。理由はシンプル、サンゴ礁
で漁が程よく行われているからだ。
研究に参加した環境NGO、コンサベーション・インターナショナルのジャック・キッティン
ジャー氏は、サンゴ礁の保護に重大な影響を与える研究結果だと言う。
「これまでサンゴ礁の保護といえば、海洋保護区にある手つかずのサンゴ礁を守ることに重点が
置かれてきました。今後は国際的なマーケットとの関係も考慮する必要があるでしょう」
6月15日付の科学誌「ネイチャー」に発表された研究論文は、大学から自然保護団体、ナショナ
ル ジオグラフィック協会が進める「原始の海プロジェクト」など、34機関の科学者39人が執筆
者に名を連ねる。今月19〜24日に米国ハワイで行われる国際サンゴ礁シンポジウムに先立ち、
人々の関心を高めるために発表された。同シンポジウムは4年に1度、世界中の研究者たちを集め
て開催されている。
気候変動に伴う温暖化と海面上昇によって、サンゴ礁のダメージが深刻化している。特に今年は
エルニーニョ現象が重なり、海水温がさらに上昇している。これに魚の乱獲が加われば、サンゴ
礁にとって最後の一撃となりかねない。
しかし、持続的な管理が行われているサンゴ礁は、気候変動の長期的な影響に適応できる可能性
が高い、とキッティンジャー氏は考えている。
研究チームは気候変動の影響をより細かく理解するため、46カ国のサンゴ礁を6000回以上にわたっ
て調査。漁獲量が最も高い海域では魚などの生物が最も少なく、その結果、サンゴ礁が最も減少し
ていることがわかった。サンゴ礁が荒廃している35カ所の「ダークスポット」は世界中に点在して
いるが、カリブ海、アフリカ沖、人口の多い都市から近いインド太平洋で多く見られた。
一方、持続的に利用されているサンゴ礁は最も良い状態を保っており、ソロモン諸島、インドネ
シアの一部、パプアニューギニア、キリバスなどで15の「ブライトスポット」が確認された。
ブライトスポットをさらに調べてみると、明確なパターンがいくつか見つかった。そのなかには、
「こんなことが?」と思われる意外なものも含まれていた。まず、昔からの漁業権が守られている
海域では、サンゴ礁が最も健全だった。こうした海域では、漁をできるのは地元の漁師だけで、よそ
者は締め出される。人々が海の恵みに頼って生活している地域ほど、この傾向は顕著だった。
「これは直感に反する結果でした」とキッティンジャー氏は話す。
以下ソース
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/061700221...
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