火星上に存在する水和塩鉱物が細菌を殺傷することを明らかにした研究結果が6日、発表された。火星
の少なくとも表面での生命発見の期待を大きく打ち砕く結果だという。
英エディンバラ大学物理学・天文学科のジェニファー・ワズワース氏とチャールズ・コッケル氏のチー
ムが発表した研究報告によると、「過塩素酸塩」として知られるこの化合物は、地球上での室内実験
で、単純な生命体の枯草菌の培養菌体を殺傷したという。
室温で安定する過塩素酸塩は、高温で活性化する。だが火星は非常に寒冷だ。
研究チームは今回の最新研究で、過塩素酸塩が熱のない火星の表面に近い条件下でも、紫外線によって
活性化される可能性があることを明らかにした。
過塩素酸塩は数分以内に細菌を殺傷した。この実験結果は、火星が「これまで考えられていた以上に生
命の生息には適さない」惑星であることを示唆していると、研究チームは指摘する。
ワズワース氏は、AFPの取材に「火星上で生命を探す場合には、この結果を考慮に入れ、このような条
件にさらされないと考えられる地下生命体を探す試みを検討する必要がある」と語った。
過塩素酸塩は、地球上では自然に生成されるものと人工的に作られたものがあるが、火星上ではより豊
富に存在する。米航空宇宙局(NASA)の着陸探査機フェニックス・マーズ・ランダーが2008年に火星
で過塩素酸塩を初めて検出した。
紫外線が存在する条件下で過塩素酸塩が枯草菌を殺傷したという事実は必ずしも、その他のすべての生
命体が同様に死滅することを意味するわけではないと、ワズワース氏は指摘。これを確認するためには、
さらに実験を重ねる必要があると考えられる。
http://www.afpbb.com/articles/-/3134829?pid=0&page=... 過塩素酸塩:
過塩素酸塩は過塩素酸イオン (ClO−4) を含むイオン結晶であり、火薬、爆薬にしばしば使用される強力
な酸化剤である。炭素、硫黄、有機物および金属粉などとの混合物は摩擦、衝撃などにより激しく爆発
する。日本の消防法では危険物第1類(酸化性固体)に該当する。主な用途は固体ロケットの推進剤中の
酸化剤である。
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