あなたが災害にあって、救助を求めた時、消防隊員の人たちが「必ず助けに来てくれる」と思っていませんか?東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨、それに北海道地震。大規模な災害時、けがをしたり、孤立したりして消防に助けを求めても、「断られる」ケースが相次いでいます。その時、あなたはどうしますか。
(NHKスペシャル取材班・社会部記者 清木まりあ)
◆災害時の消防活動に優先順位必要 80%以上
私たちは、災害時に消防に助けを断られる事態が相次いでいることを知り、全国439の単独消防本部を対象にアンケートを行いました。
回答してくれたのは全体の84.3%にあたる370の消防本部。そこから浮かび上がったのは驚きの現実でした。
全体の80%以上が「大災害時の消防活動に優先順位をつける“トリアージ”が必要」と考えていたのです。それは私たちが大災害にあって救助を求めても、「消防は必ずしも助けに来ない」ということを意味していました。
◆消防の“トリアージ”って?
消防活動に優先順位をつける「トリアージ」とは、どういうものなのでしょうか。
「トリアージ」は、けがをした人などを治療する際、優先順位を決めるため、医療の現場で行われているのは皆さんもご存じだと思います。
一方、「消防活動のトリアージ」は、その前の段階で行われます。被災者を救助する前に、「どの現場を優先して活動するのか」選別するのです。アンケートからは、主に3つのトリアージが行われていることがわかりました。
●消防トリアージ(1)119番通報
複数の消防が行っていると答えたのが、119番通報の段階で「出動の求めを断る」トリアージです。
『地震で家具が倒れてけがをした』
『自宅が浸水して孤立した』
災害時、消防には多くの119番通報が寄せられますが、救急車などの数には限りがあります。
このため、緊急性が低いと判断した場合には、自力で病院に行ってもらったり、救助を待ってもらったりすることを勧めます。
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