テロメアは染色体の末端に存在し、細胞が分裂するたびに少しずつ短くなっていき、
やがて摩耗しきってしまうと細胞を死に至らしめる、例えていうなら時限爆弾のようなものだ。
そのため、テロメアが長いほど寿命は長くなり、老化するスピードも遅くなると考えられており、
アンチエイジング研究のターゲットとしても注目されている。
今月17日付でオンラインジャーナル「Nature Communications」に掲載された論文によると、
スペイン国立がんセンターの科学者らは、マウスのES細胞を繰り返し培養して
通常より30〜40%長い「超長テロメア」を持つ胚細胞を作成し、キメラマウスを生み出したという。
なお興味深いことに、ここまでの過程に遺伝子組み換え技術は使われていないそうだ。
そうして生まれた超長テロメアマウスを、生涯にわたって観察し続けたところ、
平均寿命は12.75%長くなり、体つきはスリムで、がんを発症する確率は低く、老化スピードも遅くなっていたという。
血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)の量が少ないほか、
代謝能力も良く、老化しても細胞内のDNAの損傷は少なかった。
寿命が延びるだけでなく、健康でスリムかつ老化も遅い——
これだけ良いことずくめなら、何らかの恐ろしい代償があるのでは……とつい考えてしまうものだが、
今回の実験ではこれといった不都合は見つからなかったという。
超長テロメアはまさにいいことずくめと言えるのである。
今回の結果はあくまでマウス実験の結果であり、そのまま人間に当てはめるのは早計だ。
とはいえ、もし今後の研究でも大きなデメリットが見つからなければ、当然人間への応用が考えられる。
健康に長生きできるよう、生まれてくる子供たちには超長テロメアを“プレゼント”することが当たり前……
そんな時代が来るかもしれない。
https://tocana.jp/2019/10/post_120429_entry.htm...
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