世界一の黒さ光を９９・９８％以上吸収暗黒シート　産総研など開発

001 2023/01/19(木) 20:38:31 ID:tqjM8VeqaU

光をほとんど反射せず、９９・９８％以上吸収する黒い新素材「至高の暗黒シート」を開発したと、産業技術総合研究所（産総研）と量子科学技術研究開発機構（量研）の研究チームが１８日発表した。米科学誌に論文が掲載された。

世界一黒い材料としてカーボンナノチューブを用いたものが知られてきたが、もろいため触ると性能が損なわれ、加工が難しく、コストがかかりすぎるなど実用化には課題があった。今回開発したシートは、触れる素材としては世界一の黒さだという。

漆（うるし）に似た黒色の樹脂の表面に微細な凹凸を作って光を吸収させ、反射によるぎらつきやくすみがほとんどない深い黒を実現。カメラや望遠鏡などの内部の乱反射を防止したり、ＶＲ（仮想現実）ゴーグルに使ってより映像への没入感を高めたりといった応用が考えられるという。

研究チームは、２０１９年にも「究極の暗黒シート」と銘打った黒色の素材を開発した。まず、量研の加速器を用いてイオンビームを照射し、表面に微細な円錐（えんすい）状の凹凸を持つ型を作る。次に、この型を使ってカーボンブラック顔料を練り込んだシリコーンゴムに凹凸の構造を転写。円錐の壁面に光が何度も反射を繰り返すことで吸収され、光を閉じ込める仕組みだ。このシートも熱赤外線では９９・９％以上を吸収できたが、紫外線から可視光線では９９・５％以上の吸収率にとどまった。

可視光でもさらに黒いシートを目指して開発を進めたところ、チームは顔料の粒子による素材内部からの光の散乱が妨げとなっていることを突き止めた。

散乱が少ない素材を探す中でたどり着いたのが、カシューナッツの殻から抽出した成分を使う「カシューオイル樹脂」だ。漆を代替する塗料としても用いられる一般的な塗料だという。

円錐構造によって鏡面反射が抑えられ、ぎらつきがない上に、カシューオイル樹脂の特性で散乱反射が少ないくすみのない黒が完成した。可視光の９９・９８％以上を吸収するため、レーザーポインターの光を当ててもほとんど消えてみえるほどだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/811ebe65d96de2d450514...