米半導体最大手インテルが量子コンピューターの開発競争に加わる。今日のハードウエアをはるかに超える
処理能力を通じて既存のエレクトロニクスの限界を打破することを目指す取り組みだ。
インテルは、オランダのキューテック(QuTech)との10年間の提携の一環として5000万ドル(60億円)を
投資する。キューテックはオランダのデルフト工科大学とオランダ応用科学研究機構が2013年に創立した研
究機関。インテルはまた、この分野での進展を促すために自前の技術力を提供する計画だ。
科学者は数十年にわたり量子物理学をコンピューターに適用するよう取り組んできた。 IBM や マイクロソ
フト 、グーグルなどの有力企業でも、研究者がこの分野に積極的に関わっている。
既存のコンピューターは、データを1あるいは0と表現する2進法を活用している。研究者は、極めて微細な
規模の世界では伝統的な力学とは原理の異なる量子力学が支配していることに着目し、1と0を同時に表現す
ることもできる量子ビット(qubit)を用いることを追求している。
これに関連する目標は、科学者が「量子もつれ」と呼ぶ状態に量子ビットが達することにある。これが実現
すれば量子コンピューターの並列処理能力は今日の最速のコンピューターにはるかに勝るようになると擁護
派は述べている。
インテルのこの分野への参入は、その資金力や既存のコンピューター技術をめぐる利害もあって注目に値す
る。インテルの2014年の研究開発費は115億ドル(約1兆3800億円)だったが、特に半導体微細化のための
生産工程に注力していた。
しかし、微細化を通じた進化は次第に困難になっている。従来は新しい生産工程の導入を2年間隔で行ってい
たインテルだが、7月には将来は2年半間隔になる公算が大きいことを明らかにしていた。
インテルで先端技術の研究を率いるマイク・メイベリー副社長は、最近の量子技術に進化の兆しが見られる
ためにこの分野への参入に至ったと述べた。また、インテルでは、量子ビットによる処理信号の生成や電気
干渉によって発生するエラーの修復など、残る障壁の克服に貢献するための方法を見いだしているという。
http://jp.wsj.com/articles/SB1032746023607547435...
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