米政府傘下のローレンス・リバモア国立研究所(カリフォルニア州)は人間の脳の働きを応用してコンピューターに関わる
難題を解決しようとしている。
同研究所は31日、人間の脳の働きをまねるよう設計されたマイクロプロセッサー16個を搭載した、初のコンピューターの
試験を開始する。コンピューターのコストは100万ドル(約1億1300万円)。
このマイクロプロセッサーは「TrueNorth(トゥルーノース)」と呼ばれ、米IBMが2014年に開発した。現在のサーバー
やパソコンに採用されているマイクロプロセッサーとは仕組みが完全に異なり、トゥルーノースでは内蔵された54億個の
トランジスターが100万個のニューロン(神経細胞)を構成、それがシナプス(神経細胞の結合部)によって接続される。
IBMのほかにクアルコムやマイクロソフトなども複雑な計算タスクの処理速度を上げるための特殊なプロセッサーの開発に
取り組んでいる。こうしたプロセッサーのほうが、コンピューターが人間の脳のように学習する人工知能(AI)技術、
ディープラーニング(深層学習)には向いている。
約12年前にトゥルーノースの研究を始めたIBMの研究者、ダーメンドラ・モダ氏は「脳はかなり単純な構造のように見え
るが、なんらかの方法で非常に複雑な問題を解くことができる」と指摘した。
IBMによると、トゥルーノースが商業ベースで広く利用されるまでには5年から7年かかるが、ローレンス・リバモアの試
験は商業利用に向けた大きな1歩だ。
トゥルーノースは省エネという点でも人間の脳と同じ。サーバー用のプロセッサーでは消費電力が150ワットを超えること
が多いが、トゥルーノースの消費電力は16個でたった2.5ワットだ。
ただ、トゥルーノースは画像認証など次世代的な課題に対処するように設計されていて、例えばウェブサーバーを動かすこ
とはできない。最近、米アルファベット傘下の人工知能プロジェクト「アルファ碁」が韓国の囲碁のトップ棋士に圧勝した
が、こうした知的作業もトゥルーノースが得意とする分野だ。
ローレンス・リバモアのコンピューター科学者、ブライアン・バン・エッセン氏は「トゥルーノースはディープラーニング
や幅広いマシンラーニング(機械学習)の応用に役立つ」と話している。
バン・エッセン氏によると、ローレンス・リバモアは14年末からトゥルーノースの評価を行っているが、16個のトゥルー
ノースを搭載したコンピューターで大規模な試験を行うのは初めてだという。バン・エッセン氏の研究チームはスーパーコ
ンピューターで処理する作業をトゥルーノースに行わせる予定。(以下ソース)
http://jp.wsj.com/articles/SB1211160731192549337...
返信する