税金のごまかしや、恋人への裏切りなど何であれ、小さなうそをつくと、それがエスカレー
トして大きなうそに発展しやすくなるとの研究結果が24日、発表された。英科学誌「ネイ
チャー・ニューロサイエンス」に掲載された論文はまた、うそを重ねるとともに、脳に表れ
る感情的な反応が徐々に弱くなるともしている。生化学的な関係は非常に強く、繰り返しう
そをつく実験では、前回うそをついた人の脳スキャンデータを調べるだけで、次にどれほど
大きなうそをつこうとしているかが正確に予測できるという。
論文の主執筆者で、英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)実験心理学部の研
究者のニール・ギャレット氏は「今回の研究は、不正直な行動が繰り返されると、その程度
が増大することの初の実証的な証拠となっている」と述べた。論文の執筆者らは、不正直な
行為を思いとどまらせる社会規範や道徳があるにもかかわらず、人々がたわいのないうそか
ら大ぼらを吹くようになるまでの仕組みを理解することは、学術研究にとどまらない興味を
喚起するとしている。
事実からどの程度逸脱するかや、不正直さがエスカレートする度合いについては、被験者に
よって大きく異なっていた。また、事前の質問表で、率直さの程度が低いと特定されていた
被験者は、実験中にうそをつく可能性も高かった。だが、大半の被験者は、ごまかしのパ
ターンに容易に陥るだけでなく、時間とともにますます大胆なうそをつくようになった。
研究では、被験者25人に対しては、機能的磁気共鳴断層撮影法(fMRI)による脳スキャンを
実験中に実施。感情を処理する脳の部位である「へんとう体」が、うそをつく行為の発生時
に強い反応を示した。少なくとも最初はそうだった。
だが、うそが大胆になるほど、へんとう体の反応が徐々に低下。研究チームはこのプロセス
を「感情適応」と呼んだ。「例えば、初めて税金をごまかす時などは、相当に後ろめたく感
じるかもしれない。この悪感情が、不正直な行動に歯止めをかける」とシャロット氏は説明。
「だが、次にごまかしをする際には、すでに適応しているために、行動を思いとどまらせる
ための否定的な反応が弱くなる」と続けた。
http://www.afpbb.com/articles/-/310559...
返信する