新型コロナウイルスとの闘いの舞台のひとつ、保健所。感染者の届け出の管理から健康観察、入院調整にいたるまで幅広い役割を担い、想定を上回る感染者の増加に業務が追いつかない事態がたびたび課題になりました。
改めて振り返ると、デジタル化を乗り越えることの大切さが見えてきました。
(奈良放送局 記者 及川佑子)
●大量の紙、紙、紙…
奈良県大和郡山市にある郡山保健所は、県内第3の都市、生駒市をはじめ、天理市や大和郡山市など県北部の8つの自治体を管轄しています。
2021年8月。
デルタ株が流行し、「第5波」と呼ばれる感染急拡大のさなか、私たちは初めて、この保健所を取材しました。
案内された部屋では、数十人の職員がひしめき合い、鳴り続ける電話に対応したり、パソコンへのデータ入力に格闘したりする姿が、あちこちで見られました。
そして、目についたのは、机などあちらこちらにあふれかえる書類の山。
医療機関から送られてきた「発生届」、感染者の体調や行動履歴の調査結果を書き込む「紙カルテ」と呼ばれる書類、宿泊療養施設への入所予定者に外出を控えるよう同意を取り付けるための書類…。
必要な書類ではあるものの、それらをさばくのに手いっぱい、そのような印象を受ける状況でした。
●感染者にアクセスできない…
この保健所には、オミクロン株が流行したことしの春先にかけての「第6波」の際に、さらに厳しい局面が訪れました。
保健所は「発生届」を受理したあと、その情報をもとに感染者に電話で連絡をとり、体調の確認などを行う役割を担っています。
しかし、入力が必要な「発生届」の書類があまりにも多かった上、1人あたりの電話も長い時間を要していたため、作業が追いつかず、「ファーストコンタクト」と呼ばれる感染者への対応が滞ってしまいました。
「発生届」を受理してから一度も連絡できないまま療養期間を終えた感染者は、およそ2000人にのぼったと言います。
同じ時期、私たちの取材でも「保健所に連絡を取ろうとしてもまったく電話がつながらない」とか「保健所から何も連絡が来ない」といった声を聞く頻度が増えました。
書類の入力事務の停滞をきっかけに、住民の不安に応える窓口の機能も低下していたのです。
●アナログからデジタルに…
どうしたら業務を円滑に回し、本来の「命を守る」仕事に集中できるか。
郡山保健所は、感染の波が落ち着くたびに、事務作業の中で見直せる部分がないか、検討を重ねてきました。
そのなかで着目したのは、…以下ソース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221208/k1001391580...
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