<カフェインのヒト以外への正負の効能に迫る研究が進んでいる。「昆虫とカフェインの関係」を
解明することで、ヒトがカフェインを取り過ぎた時の悪影響に関する新たな知見が得られる可能性も>
コーヒーやお茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、適度に摂取すると眠気を解消したり集中力を上げたりする効果があります。受験勉強や仕事の夜ふかしでお世話になる人も多いでしょう。【茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト/博士[理学]・獣医師)】
一方、カフェインを取り過ぎると眠れなくなることもよく知られています。昨今は研究が進み、過剰摂取によってめまい
や下痢などの急性作用やカルシウム排出量を上げることによる骨粗鬆症リスクの増大が起こるといった負の作用が詳細に
調べられているとともに、ヒト以外への正負の効能も注目を集めています。
岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の宮竹貴久教授と大学院博士後期課程で国費留学生として研究するミャンマー
出身のShine Shane Naingさんらは、腐った肉やゴミ捨て場の周辺でよく見られるヒロズキンバエに濃いカフェイン
を含んだ砂糖水を飲ませると7日以内に死滅することを確認しました。研究の詳細は、10日付で日本応用動物昆虫学会誌
「Applied Entomology and Zoology」にオンライン掲載されました。
昆虫とカフェインの関係はどこまで分かってきたのでしょうか。この研究はどのような応用が期待されるでしょうか。概
観してみましょう。
<かんきつ類の花蜜にもカフェイン>
カフェインと虫の関係は、2013年3月に著名科学誌「サイエンス」に掲載された「カフェインはミツバチの記憶能力や
花粉媒介能力を強化する」という論文が掲載されて、一般からも関心を向けられるようになりました。
英ニューカッスル大学、グリニッジ大学などの共同研究によると、糖蜜にカフェインを入れて与えられたミツバチは、
糖蜜のみを与えられた場合と比べて、24時間後も花の香りを覚えていた個体が3倍も多かったそうです。
研究者たちは、自然界でカフェインはコーヒーノキだけでなくかんきつ類の花蜜などに広く分布していることも発見しま
した。そこで、「ミツバチにとって苦い味のカフェインが花蜜に入っているのは、花から花へ飛び回るときに場所を覚え
るために役立つからではないか」と仮説を立てました。
続き→
https://news.yahoo.co.jp/articles/a600170a643aefaaf1bbb...
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