顔写真を撮るだけでがん患者の全般的な健康状態や余命が判定できるという人工知能(AI)モデルが開発された。医師によるがん患者の生存可能性診断や最善の治療法の見極めを支援できるツールとして期待されている。
AIモデルは米マス・ジェネラル・ブリガムの研究チームが開発し、10月19日の科学誌ランセット・デジタル・ヘルスに発表した。
「1枚の顔写真だけで死亡リスクの兆候を検出できることが分かって非常に驚いた」。論文著者のレイモンド・マック氏はそうコメントしている。
同モデルには顔の画像4000万枚あまりを学習させており、顔のさまざまな部位を分析して、がん患者の全般的な健康状態と、細胞や身体の加齢度を表す生物学的年齢を推定する。
マック氏によれば、生物学的年齢の判定では、こめかみの周辺や額、目の上、鼻から口角にかけてのほうれい線に着目する。
一方、余命判定は鼻筋や目の下の領域に着目しているという。
顔のこの領域については、古代ギリシャの哲学者で医師だったヒポクラテスが紀元前400年ごろに記した「予後論」の中で言及。「鼻がとがって目が落ち窪み、こめかみが窪んだ」状態を、筋肉の衰えや死亡リスクを表す徴候と指摘していた。
マック氏は「我々の診断法が、数千年前のヒポクラテスの知恵を再現しているかもしれないと思い至って非常に驚いた」と話す。
ただし、AIにヒポクラテスの古代文献を学習させたわけではないとマック氏は強調し、「顔写真と、その人が死亡したかどうか、あるいは死亡した年齢のみを学習させた」と説明した。
研究チームはさまざまな年齢や民族的背景をもつ4000万人以上の顔写真をAIに学習させた上で調整を加え、1枚の顔写真から生物学的年齢を推定するモデルと、がん患者の余命を推定するモデルを開発した。
余命判定モデルを実際に使った調査では、死亡リスクが高いと判定されたがん患者122人のうち、半数超の52.5%が、判定通り90日以内に死亡した。対照的に、死亡リスクが最も低いと判定された975人の場合、90日以内に死亡した患者は約2%にとどまった。
生物学的年齢推定モデルでは、生物学的年齢が実年齢を20年以上上回った患者1060人は、21%が90日以内に死亡した。一方、生物学的年齢が実年齢より10年以上若いと診断された4195人のうち、90日以内に死亡した患者は約6%だった。
美容整形手術やボトックス注射、化粧などによって顔を変えても、AIモデルの判定に影響は出なかったとしている。
https://www.cnn.co.jp/fringe/35253896.htm...
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