意外なことに、過去の研究論文を掘り起こしていくと、これまで毒ヘビの攻撃速度については特に研究
されてこなかったことにペニング氏は気づいた。
そこで同氏の研究チームは安全に撮影できる箱を作成し、中に詰め物をした手袋を差し入れてみて、
ラットスネークと毒ヘビの攻撃を観察することにした。2匹の毒ヘビには、ヌママムシと、ニシダイヤ
ガラガラヘビを使った。
動画を見ると、ラットスネークの攻撃速度、加速度、そして攻撃にかける秒数は、毒ヘビと変わらない
ことが分かる。
ペニング氏は、驚くことではないと語る。ヘビは毒のあるなしに関係なく、ウサギやネズミといった動
きのすばしこい獲物を狙うためだ。
実際のところ、実験で2番目に速かった個体はラットスネークで、頭の動きの加速度は274m/s2を記録
した。地球の重力加速度の28倍に相当する。
これは驚異的な数字だ。自動車なら、停止した状態からわずか0.1秒以下で時速97キロに達する計算に
なる。中に乗っている人間には想像を絶する激しいGの力がかかることとなる。
カメレオンの舌も同様に圧倒的な速さで飛び出すことができるが、ヘビの場合は舌よりもはるかに大切
な頭部を高速で繰り出してくるのだ。
■筋肉の数は人間の20倍
「頭は体の中でも最も繊細な部分です。その加速度は、世界一熟練したパイロットですら、耐えられた
としても長くは続かないでしょう。本当に驚きです」
しかし、その瞬発力は一体どこから生まれるのだろうか。
次なる研究は、ヘビの複雑な筋肉組織を解読することである。ヘビには最高で1万5000もの筋肉があ
る。これは人間の体の20倍に上る。
「体中のいたるところで様々な筋肉が運動しています。何が何を動かしているのかも、まだよく解明さ
れてはいません」と、ペニング氏。
「まだまだ研究すべきことはたくさんあります」
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/042000146...
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