戦うボットを人は知らない 英フィナンシャル・タイムズ

それは実験だった。トゥンデ・オランレワジュ氏はある日、勤務先のコンサルティング会社マッキン
ゼー・アンド・カンパニーに関するウィキペディアの項目をいじくり回したのだ。ページを編集し、
自分がマッキンゼーを創業したと書いた。修正した記録を保存するために、友人がスクリーンショット
を撮った。

それからほんの数分でオランレワジュ氏はウィキペディアからメールを受け取った。そこに書かれて
いたのは、彼の編集は拒絶され、本当の創業者の名前が改めて記載されたとの内容だった。ほぼ確実
に、サイト上の4000万本の記事を監視しているウィキペディアのコンピューターボット軍団の一つが、
同氏の書き込みを見つけ、確認し、訂正したのだ。

それほど賢いアルゴリズムの軍団が「真実性」の最前線を監視しており、マッキンゼーのデジタル業務
担当シニアパートナーをも出し抜けると知れば、心強い。2014年には、ウィキペディア上で行われた
編集すべての約15％がボットによるものだった。

■互いの編集を取り消し合って戦うウィキペディアのボット

だが、世界の仕組みと同じように、アルゴリズムは防衛だけでなく、攻撃にも使うことができる。
そして時として、アルゴリズム同士が意図せぬ形、予想不能な形で互いと対話する。アルゴリズムが、
ソーシャルメディアや金融市場、サイバーセキュリティー、自律型兵器システム、自動運転車のネット
ワークにわたり多様な分野で極めて重要な存在になっている今、アルゴリズム同士のやり取りを理解
する必要性はいよいよ高まっている。

科学誌プロス・ワンは先月、10年間にわたりウィキペディア上でのボットの利用について分析した調査
結果を発表した。結果から分かったのは、完全に善意の目的のために設計されたボットでさえ、互いと
戦うのに何年も費やすということだ。

そうした戦いの一例では、「Xqbot」と「Darknessbot」という２つのボットが3629項目について争い、
アレクサンドロス大王からサッカークラブ「アストンビラ」に至るまで、さまざまな題材について互い
の編集を取り消し、訂正した。

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ロボット3原則と思った・・・・・・・・・

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