●『バースデイ』(フレッド・セイバーヘーゲン/1976年)
人類の新天地を求めて恒星間航行を続けるジェネレーション・スターシップ
(世代宇宙船)が舞台のSF小説。
乗員の一人である13才の少年バートは、宇宙船のコンピュータによって
冷凍睡眠から起こされ、「男女12人ずつ、計24人の赤ん坊の親になるように」
と命じられた
赤ん坊たちの世話に追われて一日過ごした後、自室へ戻るとまた強制的に
冷凍睡眠に戻され、次に目を覚ますと船内では一年の月日が経っていた。
こうしてバートは、体感時間で一日経つごとに、一年ずつ成長した彼らと
会うことになる。
当初、バートは親代わりとして彼らに接していたが、子供たちはどんどん成長し、
やがてバートの年齢を追い越して、彼らなりの“社会”を形成してゆく。
スポーツ・恋愛・政治・芸術・宗教・学術…小さな社会ではあるが、
人間社会で起こりうる様々な事象が発生した。
かつての赤ん坊たちは大人になり、親代わりだったバートが、
次第に彼らから学ぶ側に変わる。
彼らは船の目的を探ろうとしたが、なかなか掴むことができない。
ただ、バート以外の24人は全員が生殖不能なので、どうやら、
遺伝子を次世代に引き継ぐ目的で生まれてきたのではないらしい。
やがて老年になった彼らは、自分たちを「将来の開拓世代への架け橋的存在」
であると推測し、バートに希望を託すため交替で彼の教師役を務めるようになる。
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